【ソファーの合皮がボロボロ!】フェイクレザーを張替えてみた

ソファーカバーで隠してみたがしっくりこないと感じてる方へ

数年使用したビニールレザーの表面がボロボロになりました。

カバーをしてみましたが、それでも劣化したレザーのカスが床に落ちます。

そもそも汎用カバーはフィット感がない。

土台やスポンジは使えそうなのでビニールレザーを張替えてみました。

ビニールレザーの種類で傷み方が違う

このソファーの場合、身体が触れる部分の生地とそれ以外の生地では素材が違います。

座面と肘掛け、寄りかかる背面のクッションはPUレザーで出来ています。

PUレザーとは
ポリウレタン樹脂 “Polyurethane”はフェイクレザーとも呼ばれています。肌に触れた感触が柔らかく、もっちりして気持ち良い素材。

裏面や他の部分は全てPVCレザーです。

PVCレザーとは
ポリ塩化ビニール樹脂“Polyvinyl Chloride”を塗布したもの。感触はポリウレタンよりもツルツルで硬い。耐水性や耐久性があり安価。

触った感触が違います。

わからない場合は剥がして裏面をみると違いがわかります。

上の画像はPVCレザーで縫製した肘掛け部分です。

素材が固いので曲線箇所のフィット感がありません。

いっぽうでPUレザーの利点は柔らかな生地なので局面にもフィットします。

肌触りはPUレザーに軍配が上がりますが、敢えてKURATOTOはPVCレザーをおすすめします。

今回のソファーも傷んだ箇所は全てPUレザーの部分だけです。

周囲のPVCレザーはまったく問題なし。

座ったり寝転んだり、身体が触れるところだから傷みも早いのですが、原因はそれだけではありません。

ポリウレタンの加水分解をご存じですか?

枕やクッションでもポリウレタン製は洗濯出来ません。

水や湿気は厳禁なのです。

でもソファーを使っていれば汚れます。

ホコリや皮脂や飲み物こぼしたり・・・。

それを中性洗剤や濡れタオルで拭きます。

生地の素材がポリウレタン製(PUレザー)の場合、化学反応でやがてボロボロします。

これは生地の劣化を早めていることになります。

塩化ビニール製(PVCレザー)の生地は洗剤を使っても濡れたタオルで拭いてもまったく問題ありません。

ソファーの分解と生地の剥がし作業

このソファーはサイズが長さ1800mm、奥行きが900mmの大きさです。

パーツは本体と左右の肘掛けで3分割になります。

かなり奥まった所に長いネジで固定してあります。

木組みを分解するのにはインパクトドライバーが必要です。

ご自分でチャレンジする際はソファーの構造写真をたくさん撮っておいてください。

組み立てる時に???になります。

レザーを留めているステープルとの闘い

生地を剥がす作業ですが、針(ステープル)が無数に留まっています。

これを全て抜かなければ張替えは出来ません。

マイナスドライバーでも抜けますが時間がかかり過ぎます。

専門の職人はハンマーとノミで外しますが、KURATOTOはステープルリムーバーを使います。

針にリムーバーの先を入れて浮かせます。

浮いた針をペンチで抜きます。

引き抜くよりもテコの原理でペンチを木枠に当てながら抜く感じです。

リムーバーを針に入れる際は力を入れる方向に手を置かない

木枠に針が奥まで入ってると、なかなかリムーバーの先端が針にかかりません。

それで力を入れてグリグリするのですが、うまく引っ掛からない時があります。

押さえる手をリムーバーの前方に置いてると必ず怪我をするので気を付けてください。

場合によっては大きな怪我になります。

私は何度も経験しています。

怪我すると、その後の作業が出来ません。

やる気も失せます。

本当にご注意ください。

抜いたステープルは放置しない

100本以上ある針を抜く作業は大変です。

無我夢中でやってると抜いた針が周辺に散乱します。

抜いたステープルは一か所にまとめる

床がカーペットだと針がどこに落ちてるのか?見分けがつきません。

フローリングだと床を傷つける場合があります。

誤って踏んでしまうと怪我します。

お子さんやペットが呑み込んだら大変です。

事故があってからでは遅いです。

神経質になるくらい慎重に作業してください。

生地の型取りと裁断

縫製をほどいて生地のパーツを分解します。

ソファーのパーツ数は全部で40以上ありました。

縫い目をほどくのはリッパーという裁縫道具が便利です。

どのパーツがどこのものか?撮影と印をつけてください

バラシながら縫製の順序や出来上がりの形を画像として残しておきます。

左右対称なので同じ形状で向きだけ違うパーツだらけになります。

KURATOTOはマスキングテープと画像で保存して後から見てもわかるようにしています。

型取りの線はボールペンを使いました。

黒ボールペンで裁断ラインを描いて、裁断から1~1.5cm内側に赤ボールペンで縫製するラインを描きます。

縫製ラインが出来上がりの大きさになります。

縫製と取り付け

裁断が完了したら、ひたすら職業用ミシンで縫製します。

職業用ミシンは直線専用ですが非常にパワフルです。

レザー6枚重ねでも問題なく針が動きます。

縫製資料
  • 職業用ミシン
    brotherヌーベルMD TA637
  • オルガン針 DBX1 #16
  • フジックス 
    ジーンズステッチ#20(ブラック)
  • ビニールレザー
    シンコール オールマイティー
    (ブラック)

タッカーを打ち付けて完成です!!

新品を購入するか?リペアで張替えするか?の判断

今回は二人掛けのソファーを2台張替えました。

生地は約8mほど使用したので材料費ベースですと10,000円程度です。

張替えの判断は人それぞれですが、スポンジ(ウレタンやチップ)が傷んでいたり木枠やウェービングテープ(クッションの役割)も傷んでいると材料代だけでも結構な金額になります。

作業の手間も考えたら購入した方が安上がりかも知れません。

お気に入りや思い出のある家具、部屋にフィットしている家具は何とか使い続けたい

チャレンジする方はKURATOTOが応援します。

道具が必要でしたらお貸しします。

取付けと取外しはご自身で、縫製だけKURATOTOで行うことも出来ます。

縫製が得意な方は、取付けと取外しだけKURATOTOが引き受けます。

ただしKURATOTOは張替えの専門職人ではありません

プロフェッショナルの技術を要求されてもご希望に添えるのは難しいです。

いつも悩みながらチャレンジしながらベストな選択を考えています。

気になっていることは後回しにしないで片っ端から片付けましょう。

スッキリすれば良い運気が訪れます。

気軽にKURATOTOまでご相談ください。